北海道撮影旅行~札幌・積丹編~
皆さんGWはいかがお過ごしでしたか?
3月に目薬が原因でのど風邪をひき、春先は花粉症も重なって体調を崩していた。アレルギー体質かつ出足の遅い自分にとって、春はわずらわしく憂鬱な季節だが、降雪地域の撮影を心待ちにする者にとってはうれしい時期でもある。今回、昨年道の下見で訪れた北海道にリベンジ撮影の旅行を敢行した。
旅の目的は積丹半島の秘境、西の河原とジュウボウ岬。半島を海岸線沿いに走る国道229号をしばらく行き、神恵内村珊内地区に入る。右手側にイルカの尻尾のように突き出た地形が目的地。私的に「Google マップの口コミが3桁ついている秘境はすでに大衆化された場所」という認識なのだが、ここはバズった履歴もなく、まさに積丹半島最後の秘境の名にふさわしい場所と言えるのではないだろうか。
1日目
豊平川
札幌に到着し、まず「Suage+」の納豆スープカレーで腹ごしらえ。
最初に来た時と同じ奥のカウンターだったな。
ぶらぶらとあてもなく歩きながらマップを開くと、どうやら歩いて行ける距離に河川敷があるらしい。
野球場あり、パークゴルフ場あり、グラフィティありのお手本のような河川敷。歩いていてとても気持ちよかった。
サッポロファクトリー
明日の西の河原探訪のために熊対策グッズを調達するため、アウトドアブランドが複数入っているサッポロファクトリーへ。
以前、銀座の好日山荘で見た消音機能付きの熊鈴の在庫があることは確認していたので、滞在時間は10分にも満たず。熊スプレーも買おうと思っていたけど、1万円以上だったので明日の撮影のためだけに購入することは断念。Amazonでも相場は大体それくらいらしい。
東京では見ない品揃えだったり、ブランドが入っていたのが気になった。モンベルの店頭にはでかでかとカヌーが複数並べられているし、市内に2店舗だけ展開している釣り道具専門店も入っていたりして、北海道らしさを感じることができた。
大通公園
この日は横から吹きつける風が強く、噴水から上がった水が天然のスプリンクラーみたいに地面や人を濡らしまくっていた。
すすきの
ホテルに戻ると眠気に襲われてしまい、目を覚ましたときには22時を回っていた。せっかく札幌に来たのだから名物を食べようと身の回りを整えてから外に出たのは0時前。日付をまたいでも週末の繁華街は人通りも多くにぎわっている。
すすきのでも有名なシメパフェのお店「Parfaiteria PaL」に入る。
シメどころかまだ夕飯を一口も食べていなかったが、様子見のつもりで店の前に来てそのまま中に吸い込まれてしまった。
真ん中に入っているクッキーは店のイメージキャラクターのバクらしい。
ふつうのパフェとは違い、シメ用に計算された上品な味が心地よい余韻を残す。
甘いものが苦手という方も是非札幌を訪れたら食べてほしい。
甘いもののあとは塩辛いものが食べたくなるッ…
ラーメン横丁にある「ふじ屋 NOODLE」で真のシメと行こう。
幸~~~
2日目
10時、札幌でレンタカーを借りて出発。大天狗トンネルと西の河原トンネルの間にある駐車場に車を停め、地下道を潜って海岸に出る。
軍手と替えのブローニーが入ったサコッシュに熊鈴をつけて、歩くたびに音が鳴るようにした。
トンネルを出てすぐ、小川を跨いで行かないといけないのだけど、足場として心許ない岩しか見当たらない。いきなり詰んだ。しばらくどの順番で進んでいくか、脳内でシミュレーションするのに時間がかかった。
なるべく大きな岩を選んで進んでいく。
だんだん岩が小さくなってきて歩きやすくなる。ここから熊鈴のミュートを外す。
明らかに隣国や大陸からもたらされたであろう、プラごみが漂着している。
ガレ場をひたすら進むと再び岩が大きくなる。今度はゴツゴツと四角い形状のものに変わっていく。
ビッグサンダーマウンテン…!
どの岩に足をかけるか、次はどの岩に手をかけるか、無我夢中で予測しながら慎重に進んでいく。生きていてこんなにゾクゾクする場面がかつてあっただろうか。
日常生活で特に背が低くて苦労したことはないが、この日ほど自分の脚の短さを恨んだことはない。登るだけなら特に苦労しなかったが、大きな岩と岩の間で一度下に下りなければならない時、足を伸ばしても地面に届かず、かといって軽率に滑り落ちるわけにもいかないので難儀した。山岳サークルで何回かボルダリングの初心者コースに挑戦したことがあったが、もっとしっかり鍛えていればこんな岩場や、もっと険しい秘境にも挑めるかもしれないと思った。
風が強い。じっとしているだけで軽く体がふらつきそうになる。
そして現れた目印の小屋。
ここまで来ると早く石積み場までたどり着きたい。
右下にポチッとある四角い物体が小屋。そこから北西のジュウボウ岬の方角を見た(地図中だと西の河原の左下に位置する)写真がこちら。
小屋には堅牢なかんぬきが掛けられていて、中には入れません。
斜面から熊が駆け下ってはこないかと、ひやひやして仕方がない。
海を眺めながら2本目のフィルムを装填する。
ファインダー越しに風に遊ばれた髪が入って邪魔である。海の近くで撮影する際には髪をくくった方がいい。
あの世にもし地獄があるとするならば、このような場所かも知れない。
あの岩場が此岸と彼岸を結んでいて、人間の生活の痕跡が残る海辺を越え、いまこの神の遊び場たる岬に到達したのだと。
帰りは最初、遊歩道を歩いた(漕いだ)。
これを使うとビッグサンダーマウンテンを引き返さなくて済むのだが、いかんせん昔に作られたっきりらしく、防護柵が真横になぎ倒されたように乱立していて、足場から離れていて歩きにくい。加えて足場の丸太が見えないほど太い雑草が茂っているため、道筋がわかりにくい箇所がいくつかあり、柵につかまらなければ登れないような険しい場所もあった。
下りにさしかかったところ、視界の隅でトラのように、重たげな巨躯を揺らしながら河原の方へ向かうものを捉えた。
子熊だと直感で分かった。
目視で100メートルくらい高い位置から確認したため、子熊は数センチ程度の大きさでしかなかったが、怖くて仕方がなかった。通り過ぎたのを確認した後も、熊鈴を大げさに鳴らしながら慎重に海辺へ下っていく。
2つ目の遊歩道は立入禁止。もと来た道を引き返す。
行きよりもさくさく進んでいく。それでも油断して足をくじくと怖いので注意して歩く。
無事戻ってきたー!!!!!
駐車場に戻る頃には16時を回っていた。行きも帰りも1時間半弱かかったようである。
おまけ(函館)
この後駐車場を出発し、ダークルームメイトが個展を開いている函館へ向かった。
大門横丁近くの居酒屋で解散し、夜も遅かったので仮眠室付きのスーパー銭湯で軽く睡眠をとることにする。
「函館高温温泉 湯の箱こみち」は24時間営業、カプセルベッドあり(3時間〜)で、弾丸撮影旅行にオススメ。
帰りは札幌まで下道で。
24時間の走行距離は600キロを超えた。
翌日から腕のつけ根と太ももの筋肉痛がひどく、2日間は特に階段を下るのがつらかった。結論…秘境単独弾丸旅行、オススメできません!!!